Illustratorで作ったデータを印刷のための入稿用データにするときに必要な処理をワンクリックでできるアクションを公開します。
入稿用データの作成
Illustratorで印刷用のデータを制作したとき、印刷所で開いて印刷することのできる入稿用データに変換して入稿する必要があります。
例えば「テキストのアウトライン化」はその代表的なものですね。
他にもいろいろ処理しないといけないものがありますが、何をしなければいけないか毎回確認するのは面倒。
それに確認漏れがあるといけないので、こういう作業はIllustratorの「アクション」を事前に作っておきます。
入稿用データを作るときに毎回そのアクションを実行するだけで、チェック漏れなく入稿用のデータを作ることができます。
デザインの仕事を4年以上やっている僕が、ふだん入稿用データ作成時に使っているアクションを公開します。
印刷には主にオンデマンド印刷を利用していますが、これでたいてい問題なく入稿できているので、おそらくみなさんも使えるのではないかと思います。
入稿用データ作成用アクション
ダウンロード:アピアランス分割+OL.aia(Zip圧縮)
Illustrator CC 2018(Mac)から保存していますが、元は2014で作成したので、2014以降なら動くと思います。
解説
- まずはすべてのレイヤーのロックを解除。
- つづいてロックされているすべてのオブジェクトをロック解除します。
入稿データにありがちな、ロックしたオブジェクトへの処理忘れを防ぎます。 - 次は、すべてのオブジェクトを選択して、ブレンドの拡張。
あまり校正のときまでブレンドを使ったまま残しておくことはありませんが、ある場合は拡張しておいたほうがいいので念のため。 - 再びすべてを選択して、次はアピアランスの分割。
こちらの記事でも書いていますが、僕は「アピアランスを分割」を「アウトラインを作成」より先に行うべきと考えています。
(後述「注意点」2.参照) なので、ここでもまず「アピアランスを分割」を先にします。 - そして再び全選択して、テキストのアウトラインを作成。
ここまででも入稿にはおそらく問題はありませんが、せっかくアクションで自動化できるので、もうひと手間。 - 一旦選択を解除して、選択→オブジェクト→余分なポイント でゴミを選択、削除しておきます。
- さらに、スウォッチパネルから未使用項目を選択、削除。
以上です。
あとはお好みで必要な項目を加えたりするとよいと思います。
データが完成した状態で一旦保存してから、アクションを実行→別名で保存 します。僕は入稿用データだけでなく、校正用のPDFを作るときもこのアクションを使っています。
注意点
- このアクションは、非表示のオブジェクト/レイヤーに対しては処理されません。
複数のパターンをレイヤー分けで制作しているときなどは、一旦すべてのレイヤーを表示させてからこのアクションを実行してください。
逆に言えば、処理をしたくないレイヤーはあらかじめ非表示にしてから実行すればよいですね。 - 「アピアランスを分割」「アウトラインを作成」のどちらを先にするかという問題には、こちらの記事のとおり「テキストの回り込み」を使ったときに若干の問題点があります。
これを知って以降は、僕はなるべく「テキストの回り込み」を使わず、テキストボックス自体を変形して対応するようにしています。
回り込みテキストに効果を使用するときなど、注意が必要です。 - まれに、アクションの一部(特にレイヤーのロック解除)が実行されないときがあります。
実行後にレイヤーのロックが解除されているか、必要な処理がかかっているかチェックするとよいと思います。
⌘(Ctrl)+Aで全選択すると、ロックが解除されていないために選択されない(=境界線が表示されない)、テキストにアウトラインがかかっていない等、未処理部分が判別しやすいと思います。
そういう場合は、別名保存せずにファイルを閉じて、もう一度開きなおしてアクションを実行してください。
(イラレのバグなんですかね…) - ドキュメント中に、ブレンドや余分なポイントなどアクションの対象オブジェクトが無かったりすると、実行中にアラートが出ます。
「続行」を押して続けてください。
(記事タイトルで「ワンクリックで〜」と書きましたが、ワンクリックではないですね…)
いずれにしても、アクションに完全に頼るのは危険なので、アクションの実行過程・実行結果を目視で確認することをお勧めします。
さすがに画像のサイズ調整は…
このアクションを使えば、AIファイルとしてはたいてい問題なく入稿できると思います。
しかしこの他に、本来ならリンクしている画像を適切なサイズ/解像度にして、無駄に大きいファイルサイズを縮小して入稿するのが印刷所に対して優しいと思います。
さすがにアクションでそこまでは対応できないので、このアクションでまず入稿用AIファイルを作って、そこからリンク画像の調整をするとよいと思います。
ちなみに
当然このアクションもキーボードショートカットを設定することができますが、間違えて実行してしまって気づかず上書き保存してしまうのを回避するため、僕はあえて設定していません。