葛西紀明「40歳を過ぎて最高の成果を出せる『疲れない体』と『折れない心』のつくり方」(東洋経済新報社)を読みました。
僕も40歳を過ぎたので、これからのことを考えて読んでみた。
目次
「40歳を過ぎて最高の成果を出せる『疲れない体』と『折れない心』のつくり方」要約
「自分の夢は、正しい努力で叶える。」が著者の持論。
- 自分の努力は「目的に見合っている」か
- 自分の努力は「年齢に見合っている」か
結果が出せなかったり、がんばれないと悩む人の多くは、努力が足りないのではなく、努力の「方向」と「やり方」が間違っている可能性が高い。
スキージャンプ選手として35年以上第一線で活躍する著者が、アスリートとして試行錯誤した末にたどり着いた、フィジカル面とメンタル面の両方をカバー、アスリートだけではなくビジネスパーソンでも実践できる30のメソッドを紹介している。
「疲れない体をつくる」フィジカルメソッド
疲れない体をつくる最大のポイントは「代謝を上げること」。
本書内では一貫してこれを言っている。
■体幹トレーニング
代謝が下がることで、体内の疲労物質を体外に排出する力が弱まり、疲労が溜まる。
代謝が下がる原因は「姿勢」。
姿勢が正しければ、同じ体勢を保っていても疲れない。
そして、姿勢が悪くなる原因は「体幹」。
体幹が鍛えられていれば、自然と良い姿勢になる。
体幹が弱い→姿勢が悪くなる→代謝が下がる
逆に言えば、
体幹を鍛える→姿勢が良くなる→代謝が上がる
スキージャンプという、とりわけ体幹の強さを必要とする競技で長年戦っている著者のおすすめの体幹トレーニング法を紹介。
「寝る前3分でできる!体幹トレーニング」と題されているように、内容はいたってシンプル。
僕も姿勢の悪さは自覚しているので、このトレーニングで体幹を鍛えて姿勢を整えたい。
■ランニング
ランニングにはフィジカル面、メンタル面両方の効果が期待される、40代にとってメリットの多いトレーニング。
運動を始めるコツは、「最初の目標設定を、ストレスを感じないレベルまで下げる」こと。
これは僕も似たようなやり方でウォーキングを始めて現在まで続いているので、こちらの記事も参考にしていただければ幸いです。
そして運動を継続するコツは、「やらなきゃ」と言う義務感を捨て、「あえて毎日やらないようにする」。
とにかく「心のストレス」を取り除くことが、継続には大事。
著者でさえ、年の3分の1は走らない日があると言う。
年中トレーニングをしているようなイメージがあるトップアスリートにそう言われれば、我々一般人としては自信が持てるというものだ。
■ストレッチ
筋力の低下とともに、「柔軟性の低下」も「疲れやすい体」をつくる。
ハムストリング・大腿四頭筋・内転筋
の3つの筋肉をほぐすことで、体の可動範囲が広がり、代謝が上がることで、結果として疲れにくい体を手に入れることができる。
ここで著者がすすめるそれぞれの筋肉のストレッチ法も非常に簡単なもので、くじけずに続けられそう。
■睡眠
睡眠の質をアップさせるための、睡眠導入と、深い眠りに導くポイント。
- 部屋は真っ暗に
- 起きる時間は厳守!二度寝はしない
- 楽しいことを考える
- 昼寝はしない。しても30分以内
- 自分に合った寝具を選ぶ
睡眠の質を下げる習慣を断ち切る。
- 寝る前の食事
- 布団に入ってからのスマホやテレビ
- 寝室以外でのウトウト睡眠
40歳を過ぎて太りやすくなる最大の原因は「代謝の低下」
40歳を過ぎたら、「運動」より「食べ方」でやせる。
ダイエット継続するための目標設定の仕方は、
- 「1ヵ月の減量目標」は2キロ以内にする
- 「前提条件・交換条件つきの目標」を立てる
- 「体重減を超えた目標」をもつ
のように、ここでも「心のストレス」を極力除く設定方法になっている。
「老いない体」をつくるには「下半身の強化」が重要
全身の筋肉の約7割は下半身に集まっているので、下半身を鍛えることで効率よく代謝をアップさせられる。
しかも、下半身の筋肉は上半身よりも衰えが早いので、下半身にフォーカスを当ててトレーニングをすることは重要。
ここでは葛西式「下半身強化トレーニング」と、それとセットで行うストレッチを紹介している。
折れない心をつくる
■3角形の法則
- 「脳を疲れさせない」
- 「 笑顔と言葉で『プラス思考』を生み出す」
- 「『ワクワク感』 を甦らせる」
の3要素をバランスよく鍛えること。
これらはすべて「ストレスマネジメント」。
紹介されているメンタルメソッドを実行することで、ストレスが減り、やる気が戻ってきて、「折れない心」をつくっていける。
「攻める」メンタルの強さも必要
どうすれば本番でもてる実力を発揮し、最高の成果が出せるのか。
著者が長年の試行錯誤の末にたどり着いたのは、「不安な気持ちを取り除く」ことと「緊張感をゆるめる」こと。
「不安な気持ちを取り除く」方法として紹介されているのが、イメージトレーニング。
「緊張感をゆるめる」方法として、著者自ら編み出した呼吸法(レジェンド・ブレス)を紹介。
まとめ・感想
本書を貫いている二本の柱は
- フィジカル面=代謝を上げて疲れない体をつくる
- メンタル面=心のストレスを取り除いて折れない心をつくる
フィジカルを鍛えることでメンタルへ良い影響を及ぼし、逆にメンタルを整えてストレスを減らすことで、トレーニングやダイエットなどでも良いパフォーマンスを出せるというように、これらは相互に作用している。
アスリートである著者が実体験の中から編み出した、極めて実践的なメソッドたちは、理論を並びたてられるよりもリアリティがある。
しかし、トップアスリートでありながらもその内容は僕たち一般人にも十分に実践可能なレベルになっている。
実践にあたっては、全部やるのではなく、自分に必要なものを見極めてできそうなものから一つひとつ実践していくと良いだろう。